<To Heartその後(マルチ編)>

  「ほら、御主人様ぁ〜起きてくださいよぉ〜」

  わたしの1日は御主人様を起こすところから始まります。
  充電はそんなに長時間の必要も無いので朝は早く起きてしまうんです。

  「なんだよ、もう少しねかせろよ。旬眠暁を覚えずっていうじゃないか」
 「何言ってるんですかぁ〜、瞬眠ですよ、それを言うならぁ」
  「マルチなぁ、お前ほんとにロボットなのか?」
  「はい。来栖川重工開発のHMX-12型。通称マルチですぅ」
  「日本語をちゃんとマスターしろよ。瞬眠じゃなくて春眠だ」

  う、うううっ・・・わたしはメイドロボだからそんな詳しい日本語は
  覚えてないですぅ。セリオちゃんじゃないんですから。

  「さぁ、起きてください、朝ご飯できてますよ」

  御主人様はこのあと時計を見てびっくりするのがいつもの日課です。
  予定通りびっくりしてますね。ちゃんと起こしてるのにぃ。
  階段を駆け足で降りて、食堂に。さっき用意した朝ご飯はたった
  数分で食べられてしまいます。でも、わたしのつくったご飯をおいし
  いっていってくれるのは、御主人様だけです。

  そして1分で着替え、1分で身支度を整えると玄関から呼び鈴が・・・

  「ピンポーン」

  ほら来た。幼なじみの神岸あかりさんです。

  「いってらっしゃぁい、気を付けてくださいねぇ」
  「おう、行ってくるな」
    
  そんなこんなでマルチの朝の生活が終わるんです。

  そして翌朝・・・

  「ほら、御主人さまぁ〜・・・」

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