<9th Day:Takahata's Eye>

  「かすみさん!」

  よかった、間に合ったか!僕は必死でかすみさんの居場所を調べ、やっとたどり着いた。
  森山家に。

  かすみさん?

  「高幡クン・・・ごめん。なんかすごいことになっちゃった。もしかしたら、爆発する
  かもしれないけど、ごめん」
  「は、はぁ?(も、もしかして既に洗脳?)」

  そう思っているのもつかの間、かすみさん、パソコンデスクの下に潜り込んでガサゴソ
  やっている。

  「ほら、この下にボタンがあるでしょ?二つ。どちらかが起爆装置なんですって」
  「え!じゃぁ爆弾処理班とか呼ばないと!」
  「ダメよ。だってあと10分しかないんだもの」
  「・・・」
  「あたしたちで解体するか、ボタンを押して当たりを引くかのどちらかしかないワケ」

  あたりというかハズレを引かないとだめですよね、などというツッコミをしている場合
  じゃない・・・って、そんな話じゃなくて!1人で来ちゃ危険だってあれほど言ったの
  に!

  「高幡クン、お母さんと周りの住人を連れて非難しなさい」
  「え?でもかすみさんは?」
  「あたしはこのボタンを押さなきゃ。誰かがやらないと」
  「じゃぁ僕がやりますから、かすみさんは避難誘導してください」
  「ダメよ。上司命令」
  「どうしていつもこんな時ばっかり上司命令を出すんですか!僕はですね!」
  「いいのよ。仕方ないよ。これはあたしの問題でもあるんだから。高幡クンの気持ちは
  すごく嬉しいけどね。今回ばかりはあたし自身でケリをつけなきゃいけないの。わかる
  でしょ?この気持ちは」

  も、もちろんそれは分かりますよ。でも、そんな危険なことをやらせるわけには・・・
  ダメ。だから、避難誘導させて。ほら、時間ないわよ。きっと大丈夫だから、ね。

  僕も男だし、上司の命令には逆らえないのがこの警察機構。かすみさんの無事を祈りつ
  つ避難誘導に当たることにした。おっと、その前に応援部隊を一応呼んでおかないと。

  とはいえ、起爆装置って何だろう。その例の女の子って爆弾作れるのか?