<3rd_GRADE 第7章:October(3)> Yumi's EYE 『おっみやげ〜』

  ふわぁぁ〜っ。

  やっぱうちがいちばん落ち着くんだな〜。バシャバシャとお風呂でひとさわぎ。

  3泊5日の修学旅行から帰ってきた時には、優美、もうクタクタだったけど、
  なんかお風呂入ったらすっきりしちゃった。夜とか、結構遅くまで起きてたり
  して(もちろん起きてたら先生に怒られちゃうから、静かにしておしゃべり)、
  すっごく楽しい1週間だったなぁ。

  え?どこにいったのか?

  「お・き・な・わ!」

  なんで夏に行かないんだろ〜って優美なんか思うけどね〜。しかも移動はなぜ
  かバス。いまどきの修学旅行でバスつかって行く高校なんかないよ〜。

  ということで、丸1日かけて沖縄に到着。フェリーとかも乗っちゃった。

  到着2日目(1日目は団体行動ね)。グループ行動は首里城。シュリジョー?
  ていったってお城なんかないじゃない。え?門だけ残っててお城は壊れちゃっ
  たの?あ、そうなの。あはは、はずかし〜。沖縄って昔は日本じゃなかったん
  だね。ふぅん。りゅーきゅーっていうの?ふぅん。

  一応修学旅行だし、勉強するそぶりも見せながら各名所を回っていきます。

  沖縄って島の中より外側の方が町がひらけてるんだね、って友達に言ったら、
  当たり前じゃん、島の奥に町つくったって行くの大変じゃん、って。あ、そっ
  か。う〜ん、優美には頭使うことは向いてないのかなぁ。

  到着3日目もグループ行動。ひめゆりの塔とかいろいろみたけど、夕日が沈む
  時の海が一番キレイだったなぁ。あ〜あ、先輩と行きたかったな・・・

             ☆              ☆              ☆              ☆

  そんなこんなで帰宅した時にはすっかり疲れきってた優美ですが、お風呂に入
  って元気もりもり。だったんだけど・・・

  「優美、おみやげは?」
  「え?」
  「『え?』じゃないだろ。愛する兄のためにおみやげを買ってくることこそ妹
  の愛情ってもんじゃないのか?」
  「はぁ・・・」

  さも当たり前のように手を出してくるお兄ちゃん。思いっきりはたいちゃった。

  「いてててて・・・」
  「妹のためにおみやげを買ってくることこそ、兄の愛ってもんじゃないの?誰
  だったっけ?去年修学旅行行って、お母さんからもらったお小遣いをおみやげ
  も買わないで、ネコババしたの」
  「ギクッ」
  「いいのよ、優美は。別に告げ口したりしないもん〜」
  「・・・」

  すごすごと自分の部屋に戻っていくお兄ちゃん。ちょっと言いすぎたかな。ま、
  いっか。これくらいでくじけるようなお兄ちゃんじゃないし。

  ううん、ホントはお兄ちゃんにもおみやげ買ってくるつもりだったんだ。でも、
  お小遣いなくなっちゃったんだもん。ちょっと高いおみやげ買っちゃったから。

  もちろん、そのおみやげは、先輩に・・・

             ☆              ☆              ☆              ☆

  文化祭も終わって、年末に向けて一直線。というか・・・期末テストだなぁ。
  優美、テストきらい。

  さ、頑張っていくぞぉ。先輩の教室は・・・っと。あ、いたいた、先輩、寝て
  るよ。

  「せ〜んぱいっ!」

  思いっきり揺らして起こしてみた。大地震が起きたみたいな顔して起きる先輩。

  「・・・ん?ああ、優美ちゃんか・・・おやすみ・・・」

  って、寝ちゃだめだってばぁ。耳を引っ張って起こして、廊下に連れて行くし
  か。先輩、すごく眠そう。

  「ほえ?なに?優美ちゃん」
  「え?あ、あの・・・修学旅行のおみやげなの。もらってください」
  「あ、ああ。ありがと。それじゃおやすみ」

  そういうとさっさと教室に入っていっちゃった。なによっ、ちょっとくらいお
  話してくれたっていいじゃないの・・・

  でも、そんな先輩もかわいくて好きかも〜。おみやげの感想、今度聞きに行か
  なきゃね。