<2nd_GRADE 第2-2章:May(2)> Shiori's EYE 『What's happen With You?』

  さて。今日は楽しいデート。うふふっ。不思議と顔もほころんじゃうみたい。
  ゴールデンウイークもあと2,3日でおしまい。その休みの谷間の登校日で武
  雄君が・・・デートに誘ってくれたの。嬉しい。

  何を着て行こうかなぁ・・・自然と鼻歌が口から漏れます。迎えに行く時間の
  20分前。

  「ピンポーン」

  ん?誰か来たのかしら?

  「ピンポーン」

  はーい。と外には聞こえないけれどもそう返事をしてインターホンへ。どちら
  さまでしょうか?

  「あ、詩織?俺。武雄だけど・・・」
  「・・・!?え?えっ?」

  た、武雄君?

  「ど、どうしたの?」
  「いや、たまには迎えに行くのもいいかなぁと思ってさ」

  武雄君、わざわざうちまで迎えにきてくれたんだ・・・といってもお隣だけど。
  でも、始めて。嬉しいな。

  「おい、詩織?どうした?」

  はっ、嬉しすぎてボーっとしちゃってたみたい。我にかえったわたしは・・・

  「あっ!」
  「え?な、なんだよ」
  「ご、ごめんなさいね。今、支度するから。すぐに終るから、待っててね」

  そういうが早いかインターホンの受話器を切り即支度。服なんか選んでる場合
  じゃないわね。

  ・・・結局いつものとおりの服装。おしゃれっ気ゼロ。

  「ごめんなさい、遅くなっちゃって」
  「ああ、気にしない。気にしない。もともと迎えに来てもらうはずだったのに、
  こっちから来ちゃったんだから。」
  「で、でも・・・」
  「それにあんまり遅い時間に詩織んところへ行っても、詩織のことだから支度
  も終わらせて早めにうちに迎えに来てそうだからなぁ。それなりに早い時間に
  迎えに行かないと負けだから」

  といいながら頭をかく武雄君。この間のことを気にしていてくれたんだ・・・

  「・・・ありがとう。武雄君」

  なにげなく出た言葉。

  「ん?ああ、どういたしまして」

  微笑んで答えてくれる武雄君。そんな武雄君がわたしは好き。多分、わたしの
  思っていることは全部わかっているんだろうなぁ・・・

  「さて、これからどうしようか。水族館へ行ったとしても見る時間だけじゃシ
  ョーまで持たないよなぁ」
  「そうだね。どうしようか」
  「適当に街中をぶらついて見るか。なんか面白いもんでもあるかもしれないし
  なぁ」
  「え?う、うん。武雄君がそういうなら、そうしよう。面白そうだしね」

  適当にブラブラと。通りすぎるお店のショーウィンドウを見たり、時にはお店
  にはいって品定めしたり。特に何もなく時間はすぎていきました。でも、楽し
  いからいいんだけどね。

  「あ、そろそろ行かないとな。間に合わないや」

  武雄君が時計をみてつぶやきました。あっ。ほんとだ。早く行かないといい席
  が取れなくなっちゃう。

  「本当ね。早く行きましょう」

  武雄君の手を取って歩き始めます。ここから水族館まではそんなに遠くありま
  せん。ものの数分で到着。『KIRAMEKI Sea Paradise 』とかかれた看板。まだ
  出来てからそれほどたっていないことを示す、この匂い。そこここがすべて新
  しさで満ち溢れています。

  「なんだか、ドキドキしちゃうね。ご招待って」
  「そ、そうだなあ。なんか雰囲気違うよな」

  武雄君の言葉に偽りはなかったわ。なんか、ご招待って、企業とかそういう会
  社関係のご招待だったみたい。みんなスーツとか着てるんですもの。私服組も
  いないわけではなかったけど、高校生なんかはわたしたちだけ。

  「な、なんかすごいところに来ちゃったみたいだね、武雄君」
  「そ、そうだなぁ・・・」

  こんなところに招待されたのは始めてだし、どうしたらいいのかわからないわ。

  中に入ると、所狭しと並んだ水槽にいろいろな魚たちが泳いでいます。わたし
  たちの目も泳いでいたんだけど・・・

  とても水槽の魚たちを鑑賞しているような余裕もなく、即座にイルカショーの
  あるところへ移動。とりあえず腰を落ちつけてゆっくり考えましょう。武雄君
  もそう思っていたみたい。ステージはどこかしら・・・?

  あ、あっちみたい。行きましょう、武雄君。・・・そそくさと逃げ出すように
  その場を離れてステージへ。まだ始まるまでには時間もあったので席はガラガ
  ラ。ステージ中央の特等席もまだ誰も座っていないみたい。

  「あ、一番真ん中が空いてるよ。座りましょう」

  わたしたちの取った席は、ステージ中央の一番前の席。

  武雄君を連れて座ると、2人ともふぅっ、っとため息。お互いの顔をみ合わせ
  ると疲れきった顔が視界に入ります。武雄君も疲れちゃったみたいね。わたし
  だって緊張したもん。あんなにスーツ姿の人ばっかりで・・・ここにもやっぱ
  りみんな来るのかなぁ。そんな心配をしているとき、後ろからキャハキャハと
  女の娘らしき声がしてきました。なんだわたしたちのほかにも普通の子供(子
  供っていうのかしら)がいたんだ・・・ちょっと安心しちゃった。

  後ろを振り向くと・・・

  「あっ!」