<2nd_GRADE 第10章:January(3)> Yumi's EYE 『Snow Battle』 やったー!雪だーっ! 待ちに待った冬休みもすぐに終わってしまって新学期が始まっちゃった。冬は 寒いよねー。優美は冬の楽しみっていったらコレしかないよっ。 昨日の夜、すっごく寒かったからもしかして、って思ったけど・・・明け方に なったらもう町中雪景色。真っ白な世界になっちゃってた。雪だよ、ゆき! しかもちょうどいいことに雪は降り止んで、適度に積もっちゃってたりしてー。 さらに、さらに!今日は日曜日っ! もー、これは行くしかないっ! 「おい、どこに行くんだ?」 げ、お兄ちゃんが部屋のドアを開けて覗いてる。あたしは思いっきりドアを蹴 飛ばして閉めちゃった。お兄ちゃん、おどろいて階段転がり落ちちゃったみた い。フン、いい気味よ。レディの部屋を覗こうとしたバツだわ。 そうと決まれば後は実行のみ。動きやすい服に着替えて・・・しゅっぱーつ! 優美のうちから先輩のうちまでは電車で3駅。先輩いるかなぁ・・・先輩のう ちはお兄ちゃんに前に教えてもらってるからバッチシ。優美、これでも記憶力 は結構いいほうなんだよー。 ということで、高城高城・・・と。あった。ここだな。よし、深呼吸して・・ ・、チャイムを押すぞ。 ピンポーン 「・・・」 あ、れ? ピンポーン 「・・・」 い、いないのかなぁ。 ピンポーン 「ふぁーい」 寝ぼけた声といっしょにドアが開いた。先輩だー。 「先輩っ、おはようございますっ」 「ふぇ?あ、ああ、優美ちゃんか。おはよう・・・朝早いねぇ」 あれ?寝てたみたい。でも、もう10時過ぎだよ。 「ほら、寝過ぎですよ。外は一面、雪!雪合戦しようよ!」 「え?あ、ああ・・・むにゃむにゃ・・・」 じゃぁ、仕度したら外に出てきてくださいねっ。 ☆ ☆ ☆ ☆ やったー。先輩と雪合戦だよ。うれしいなぁ・・・ モノの数分としないうちに先輩が出てきた。シャキッと・・・してないなぁ。 なんか眠そう。んもう!それならそれで・・・ ベチャッ! やったー。先輩の顔に命中。これで、目が覚めたかなー?ん? ベチャッ! ぶへっ。喜んでる間に先輩ってば優美に向かって投げてきた。しかも命中。眠 そうにしてるから起こしてあげようと思って投げたのに・・・先制攻撃とは卑 怯だぞ。 「あっはははー」 ムッカー。先輩ってば笑ってる。よーし。優美だって負けないもん! ☆ ☆ ☆ ☆ 「なんか騒ぎ声がすると思ったら、武雄君だったの?」 むむっ、誰か新手の戦士の登場か?・・・と思いきや、お隣に住んでいるのは あの、きらめき高校でも有名な藤崎先輩じゃん。え?藤崎先輩って、高城先輩 のお隣に住んでたのぉーっ!うらやましいー。 「ああ、詩織も参加するかい?」 「せっかくだけど、ちょっと疲れ気味みたいだからここから観戦させてもらう ね。お邪魔かしら?」 「いや、そんなことはないけど・・・ねぇ、優美ちゃん?」 「え?あ、も、もちろんですっ!」 んもう!先輩とあたしの楽しい雪合戦タイムを取らないでよ!・・・とかいっ て。でも、先輩と二人で遊べるんだから、いいや。 ☆ ☆ ☆ ☆ 「ハァ、ハァ・・・」 「せんぱーい、もう終わりですかぁ?元気ないなぁ。まだ始まったばっかりで すよぉ〜」 今がチャンスかも!敵は弱っている。ガンガンぶつけちゃえ。 「うわっ、ゆ、優美ちゃん。こ、降参!ハァ、ハァ・・・」 「へへっ、じゃぁあたしの勝ちですねっ」 「参った参った。ホント元気だねぇ、優美ちゃんは」 先輩にほめられちゃったのかも。 「あたし、元気がとりえみたいなもんだから・・・」 「そういや、バスケット部に入ってるんだよね?だから体力もついたんじゃな いかなぁ」 「そうかもしれませんね。あっ!優美、今度試合に出るんですよ。先輩もよか ったら応援しにきてくださいねっ!」 時計を見ると・・・えーっ!こんな時間。今日は夕方には帰らなきゃいけない ってお母さんにいわれてたんだっけ。 「じゃぁ、先輩、帰るね。雪合戦、楽しかったよ。また雪降ったらやろうね。 それじゃぁ。藤崎先輩も。失礼しまぁす」