<序章:Februaly&March>

   あれは、いつのころだったかしら。そう、ずいぶん昔の話しに感じる・・・・

   始めて、彼の姿を見たのは高校の入学試験の時です。前日に高熱をだし、(と
   いっても、それはいつのもことなのですが・・・)翌日の高校入試にいけるか
   いけないかの瀬戸際でした。幸運なことに翌日には熱もひき私は嬉々として受
   験会場に向かいました。が、やはり私の体は病弱らしく最寄駅で倒れてしまっ
   たのです。いつものめまいですが、病み上がりだったせいか、私は駅のホーム
   に倒れてしまいました。そこで、私を助けてくれたのが彼だったのです。
   ただ、それに気づくにはもう少し時間を要しますが。  

   私が気がつくと、そこは駅構内の医務室のベッドでした。そこには駅員の方し
   かいませんでした。
   「運んでくれた人かい?さぁ、知らないなぁ。高校生くらいで・・・確か高校
   受験に行くから、時間がないって。すっ飛んでいったよ。」
   高校受験?ということは、私と同い年の人なのね。私はすかさず尋ねました。
   「あの・・・どこの高校を受験するとか・・・聞きませんでしたか?」
   「さぁ・・・言ってたような気も・・・」
   駅員さんはポンと手を叩いて、こう言ったのです。
   「確か、・・・めき・・・そう!きらめき高校を受験するって言ってたよ。」
   私は我に帰りました。こんなことしている暇はない。早く私も受験会場に行か
   なくては・・・。時計をみると、あと30分くらいしかない。
   「あ、ありがとうございました」
   そういうと私は飛ぶようにして医務室を出、会場へ向かって行ったのでした。

   私の志望校は・・・そう、「きらめき高校」だったのです。