<第9-3章:December(3)> Mio's EYE 期末テストも終わり、終業式も終わり。 高校生になって初めての新年を迎えようとしています。・・・あら?そういえ ばクリスマスがありましたね。大晦日も。毎年クリスマスは自宅で家族といっ しょに祝います。それが毎年恒例の行事となったのはいつだったでしょうか。 でも、今年はあえてそれを拒んでしまいました。 ・・・伊集院さんのうちでパーティーをするので是非来て欲しいという招待状 が届いたのです。最初私はどうしようか迷ったのですが、結局行く事にしまし た。家族にはきちんと話して分かってもらえたようです。「未緒もそんな歳に なったのね」って言われてしまいましたが・・・これって普通の女の子にして みればいたって普通のことなのでしょうか? クリスマスには家族でお祝いをするのが普通だと思っていたのですが、年頃の 女の子というのは、クリスマスにはどこかしらのパーティーに行くものなので しょうか?なんだか良く分かりませんけど。 ・ ・ ・ 今日は12月24日。 伊集院さんのお宅でクリスマスパーティーをやる日です。 始まりは夜の6時30分から。3時間くらいだそうです。あまり遅いと女の子 たちは大変ですからね。 さぁ、私もたまにはおしゃれしてみましょうか。 ・・・とは言ったものの、何を着ていこうかしら。やっぱりドレスとかじゃな いといけないのでしょうか。 結局無難にピンク色のワンピースで裾にちょっとフリルの付いているドレスを 着ました。ブローチは何にしましょうか・・・やっぱりこないだの黄色いリボ ンのがいいですね。 なんだか、うきうきします。どうしてでしょう。 お母さんにちょっとだけファンデーションをぬってもらって、出来上がりです。 今は夕方の6時くらい。そろそろ出ましょうか。 「未緒。遅くならないようにね。あなたちょっと張り切るといつも倒れちゃう んだから」 「ええ、お母さん。分かってるもの。大丈夫よ。」 ・ ・ ・ 伊集院さんのうちは学校の裏手にあります。 それにしても伊集院さんのうちって本当に大きいんですね。学校の半分はあろ うかという大きさですね。門から建物までが結構距離があります。 門のところに門番のような人が立ってます。 「あの・・・」 「レイ様のお友達でいらっしゃいますか?」 「え、ええ。招待状をいただきましたクラスメイトの如月未緒といいます」 「失礼しました。私、外井と申します。どうぞ中へお入りください」 門の中に入りましたが・・・建物まで遠いですね。本当に大きい家なんですね。 大きい池の側を通って、建物の中に入ります。 ザワザワザワ・・・・・・ パーティー会場は入り口をはいってすぐのところです。 ・・・それにしても広い部屋ですね。学校の教室がゆうに2,3個は入る部屋 です。 もうだいぶ人が集まっているんですね。伊集院さんって結構いろいろなひとと 友達なんですね。なんだかかなり年上な方までいらっしゃいます。 私の知っている人は・・・いないのでしょうか。こんなに人が多いと見つから ないですよね。 ふと天井を見上げると、豪華なシャンデリアがぶら下がっていますね。奇麗。 あら、もうこんな時間。そろそろパーティーの始まる時間です。 あ、伊集院さんが壇上に上がりました。そろそろ始まるのでしょうか。 「みなさん、本日は我が伊集院家のパーティーにようこそ。思う存分楽しんで いってください」 すごいですね。ホテルのディナーパーティーみたいにいろいろな食べ物があり ます。飲み物はお給仕さん(ちょっと古い言葉でしたか?)が持ってきてくれ ます。あ、私はオレンジジュースを。 透明なカクテルグラスにオレンジ色の液体が注がれます。なんだかお酒みたい。 普通のオレンジジュースなのにとっても奇麗に見えます。 「やぁ、如月さんじゃないかね」 後ろから声がします。声のする方を向くと、後ろで髪を束ねた男の人。 「こんばんは、伊集院さん。今日はご招待いただきましてありがとうございま す」 「いやぁ、気にすることなんてないよ。クラスの人ほぼ全員を招待しているか らね。ほら、あそこにバカ面した奴もいるしな、ん?」 「どうしたんですか?伊集院さん」 「い、いや、あいつを呼んだ覚えはないんだがなぁ・・・」 「え?」 「失礼するよ。ちょっと行ってくる」 そういうと大股でそちらに向かって歩いていきました。歩いていった先は・・ ・そう、高城さんのところです。高城さんは友達でしょうか数人で雑談してい るようです。 「どうだね、楽しんでいるかね?」 「お、伊集院か。丁度いいところに来たな」 「それより、ここにどうやって入ったんだ?」 「なんのことだ?」 まわりに聞こえるくらいの大声で会話しているの、分かっているのでしょうか。 「私は、呼んだ覚えはないぞ」 「さぁな。でも俺はここにいる」 「誰に連れてこられた?」 「そんなの知らんね。自分で調べればいいじゃないか」 「それより伊集院」 「ん?なんだ」 「そのグラスの中身、なんだ?俺達の中身とは違うようだが」 「はーーーーっはっはっはっ、この中身はなぁ」 「この中身は?」 「貴様ごとき庶民には分からない飲み物が入っているのさ。死ぬまで考えるが いい、はーーーーっはっはっはっ。それでは失礼するよ。君みたいな庶民を相 手にしているほど私は暇ではないのでね」 伊集院さんはそういうと、大股でほかの方向へ歩いていってしまいました。 ふふっ、伊集院さんっておもしろい。高城さんの応対もおもしろかったけど。 あら?高城さんがこっちに来ます。 「やぁ、如月さん」 「こんばんは、高城さん。あなたも招待されていたんですね」 高城さんはふっと笑って一言 「いいや、招待されていない」 「え?どういうことですか?」 私は目を丸くしました。だって、あんなに入る時にチェックされるのに・・・ 「聞きたい?」 「ええ、教えてください」 高城さんはクスクス笑いながら 「ここじゃなんだからちょっと外へ出て話さないか?」 「は、はい。ちょっと暑いですよね」 「如月さん、こっちこっち」 私は、高城君に連れて行かれるまま外に出て行きました。