<第9-2章:December(2)> Shiori's EYE

  クシュン・・・
  寒いのは12月のせいかしら。
  それとも・・・

  期末テストも終わってほっと一息。テスト休みの最中です。もう少しで終業式、
  そして・・・クリスマス。あ、今年は同じクラスの伊集院君にクリスマスパー
  ティーに誘われてるんだっけ。

  伊集院君と言うのは、わたしのクラスにいる男の子なんだけど、この「きらめ
  き高校」の理事長の息子なの。

  なんでも、毎年クリスマスになるとパーティーを開いているようなのよ。でも、
  誘われる人は限られているとか。なんか、誘われちゃったからちょぴり自慢か
  な?

  でも・・・
  誰が来るのかしら?未緒ちゃんは?メグは?
  ・・・・・・あいつは?

  ベッドで横になってそんなことを考えていると、電話が。

  「はい、藤崎です」
  「詩織ちゃん?美樹原です」
  「あ、メグ?どうしたの?」
  「う、うん・・・」

  メグはいつでもそうだからあんまり気にしていないけど、何を話すにもおどお
  ど気味なのよね。ちゃんとフォローしてあげないと話が進まなかったりするの。

  「なにかあったの?」
  「う、うん・・・あ、あのね、詩織ちゃんのところには届いた?」

  なんだ、メグも届いてたのねやっぱり。よかった。

  「伊集院君のところのパーティーの話?」
  「う、うん!なんだ、よかったぁ」
 
  メグは安心したのかしら、とっても嬉しそうに話しました。

  「だって、うちに帰ったらいきなり、こんな手紙が来てて・・・びっくりした
  の。もしかして、誰かのいたずらだったら・・・と思ったりしてね。でも詩織
  ちゃんのところにも来てるなら安心したの」
  「うん、よかった。わたしもちょっぴり心配だったの、ふふっ」
  「なんだぁ、詩織ちゃんもなの?」
  「まぁね。だって、突然だったんですもの」
  「そうよね。で、詩織ちゃんは行くの?伊集院君の・・・パーティー」
  「え?実は・・・まだ考えてないの」
  「そっかぁ。でも、あたしもどうしようかなぁ・・・詩織ちゃんが行かないな
  ら、あたし行っても誰とも話せなさそうだし・・・」
  「また。メグはわたしとだけじゃなくて他の人ともお話しないとだめだよ。」

  ちょっと考えましたが、

  「じゃぁ、行こうか、伊集院君のパーティー」
  「え?」
  「メグも他の人とお話するチャンスだし、行ってみましょうよ」
  「で、でも・・・」
  「でも・・・じゃないよ。メグだって行きたいと思ったんでしょ?」
  「・・・」
  「違うの?」
  「でも、でもね詩織ちゃん。あたし、パーティー用のドレスなんて持ってない
  し・・・」
  「なんだ、そんなこと?ここに『普段着に毛が生えた程度の格好で来てくれた
  まえ』って書いてあるじゃない。大丈夫よ」
  「そ、そうかなぁ・・・」
  「大丈夫よ、わたしもそんなたいしたドレスなんて持ってないから・・・ね?」

  メグはちょっと考えた様子でしたがすぐに考えがまとまったようです。

  「詩織ちゃんといっしょなら・・・いいかなぁ」
  「よし、きまりね」

  電話を切って、部屋に戻って一息。
  メグといっしょに伊集院君のクリスマスパーティーに行くことになっちゃった。
  どんなパーティーなのかしら。あいつも来るのかな?聞いてみたいけど・・・
  やっぱりちょっと恥かしくて聞けないよね。

  そうこうしているうちに・・・終業式も終わって12月24日になってしまい
  ました・・・クリスマスパーティーの当日です。