<第8-2章:November(2)> Mio's EYE

  お昼休み。私の読書の時間です・・・が、やけに廊下が騒がしいですね。

  教室の外には女の子の人だかりができています。
  めずらしいこともあるものですね。どうしたんでしょうか。

  どうやら、女の子たちの目当ては・・・高城君でしょうか?

  ・・・高城君?

  私はそのセリフを噛み締めるようにもう一度心の中で繰り返しました。でもい
  ったいなぜ、高城君が女の子たちに囲まれているのでしょうか。確かに高城君
  は背も結構高いし、運動もそこそこできるからもてるんでしょうけど、同じク
  ラスにいる伊集院君にはかなわないし・・・

  そんなことを考えつつ高城君とそれを取り巻く女の子たちを見ていたら、ふと
  目が合ってしまいました。高城君は女の子たちに取り囲まれながらも、どこか
  違うところを見ているらしく、その目の先にたまたま私がいたようです。

  私と目が合った高城君は気のせいかうんざりしているようでした。たった一瞬
  のことでしたが、なんとなく分かります。

  その後の高城君はずっと窓の外を見ているようでした。
  私は読書にいそしみます。

  ・・・どうしてなのでしょう。私のなかになにかが潜んでいるような感じがし
  ます。読書がまともにできない・・・。なんなのでしょうか。

  私は机に伏せってしまいました。

  体調が悪いのかしら?いいえ、今日は朝から調子はいい方です。ではなぜ?

  ・・・私が高城君のことを好きだと分かったのはもう少し後のことです。