<第7-1章:October(1)> Shiori's EYE

  秋・・・それはちょっぴり悲しい季節。
  食欲の秋、読書の秋。そして・・・恋愛の秋。

  きらめき高校に入学してからもう半年。いろいろなことがあったわ。
  未緒ちゃんと友達になれたし、演劇といううち込めるものも見つけたし。
  ・・・あいつとも一緒のクラスになれたし。

  どうしてあいつのことばかり考えちゃうんだろう。なんかちょっと悔しいな。
  でも・・・どうしてこんな気持ちになるんだろう?

  いつからなのかな?小さいときから?小学生?中学生?
  それとも・・・高校に入ってから?

  高校生の恋愛なんて「おつきあい」で終わっちゃうのかな?

  ・・・ううん、そんなことないよ。絶対に。

  伝説の樹があるんだもの。2人の愛は永遠になるはずよね。

  でも・・・未緒ちゃん、あいつのこと好きなのかなぁ?

  わたしは自分の部屋で机の前に座り、ほおづえをついて考え事。

  小さいときから考え事をするときはこの机の前って決まってたの。どうしてか
  しらね。不思議と頭の回転が速くなった気がするの。

  お気に入りの黄色いヘアバンドを眺めてると、よし明日も頑張ろう、って思う
  の。

  ちいさいころのあいつは、いつもあたしのことをいじめてたっけ。
  でも・・・大事なときにはあたしを守ってくれた。

  2人で散歩していて、気がついたら見知らぬ場所に出てしまったとき。
  あいつは一生懸命あたしを連れてうちに帰ろうとしたわ。あたしは、もう泣い
  ているばかりだったけど。

  近くの恐い犬のいるうちの前を通るとき、あたしをかばうようにして歩いてく
  れる。

  考えたらきりがないくらいね。

  それだけ?
  それだけで人を好きになれるのかなぁ?

  わからない。

  でも、あたしあいつのこと好きみたい。

  もうすぐ文化祭・・・