<第4-1章:July(1)> Mio's EYE そんなこんなしているうちにもう期末テストが終わりました。結果ですか? まぁ、そこそこは出来たと言ったところでしょうか。わたしはどうしても理系 が苦手なので苦労してますけど。 藤崎さんは本当によく出来ますね。本人は勉強してないって言ってるけど、だ ったら本当に凄いですよね。ほとんど満点ですから。 はじめての高校生の夏休み。とりあえずわたしは溜まっている本を片づけに かかります。演劇部の練習は週1日ですから時間はたっぷりありますね。 「みお〜。電話よぉ」 お母さんが呼んでます。わたしは1階に降りていって電話を取ると・・・ 「ああ、もしもし。如月さん?早乙女だけど」 「早乙女君?どうしたんですか?」 早乙女君から電話が来るなんて思ってなかったわたしはちょっとつっけんどん な対応をしてしまいました。 「突然電話して悪いんだけど、明日空いてる?」 「ええ、特に予定はないですけど。それが何か?」 「あした、一緒に遊園地に行かないか?」 「え!?」 「ああ、2人っきりじゃないから安心してよ。藤崎さんと高城と俺と如月さんの 4人なんだけど。だめかなぁ?」 びっくりしました。いきなりはじめての電話でデートに誘われたのかと思いまし た。藤崎さんも一緒なら行ってもいいですね。でも日差しが強くなければいいん ですけど・・・ 「いいですよ」 「よかったぁ、だめだなんて言われたらどうしようかと思ったよ」 「何かまずい事でもあるんですか?」 「え?い、いや、何でもないよ、こっちの話。でさ、時間と集合場所なんだけど、 11時に遊園地前に集合という事でいいかなぁ」 「はい。わかりました、11時ですね」 そして、当日です・・・ 4人とはいえ男の人と何かして遊ぶなんてはじめてです。ちょっとドキドキしま すね。したくの時からずっとウキウキしてしまいました。 わたしは麦藁帽子に水色のワンピース。スカートは長め。そして、赤いリボンの ブローチをつけて・・・と。 集合場所にはわたしが一番早く着いてしまいました。 さて、次に来るのは誰でしょう。 案の定というべきでしょうか、次に来たのは藤崎さんでした。 「未緒ちゃん、来るの早いね」 「そうですか?待ち合わせに遅れてくるのは相手に対して失礼ですしね」 わたしたちはこないだ一緒に行ったショッピングの話、運動会の話などなどをし ながら早乙女君と高城君を待っていました。 一番最後に来たのは、やはりと言うべきでしょうか、早乙女君でした。 「わりいわりい、電車がモロ混みでよ」 開口一番の一言に対して、 「お前、それってあいつの受け売りだろ。電車が混んでたって遅刻はしないぞ」 「え?あ、ああそうだな。気にすんなよ。ちゃんと来たんだから」 そんなやり取りを聞いていると、おかしくなってしまいますね。ぷっと吹き出し てしまいそう。なんだか今日は、とっても楽しい1日になりそう。 遊園地に来るのなんて何年ぶりかしら。確か・・・小学5年生くらいだったと思 います。その時も遊園地で倒れてしまい、一緒に来ていた友達に迷惑をかけてし まった苦い思い出がありますね。 今日もあの日と同じくらい強い日差しが差しています。大丈夫、気をしっかり持 たないと。 「じゃ、とりあえず観覧車に乗ろうぜ」 早乙女君は今日はリーダーのようにみんなを引っ張っています。 観覧車は2人乗り。誰と誰が乗るかしら?なんだか、小声で早乙女君と高城君が 話をしているようです。 「じゃ、俺は如月さんと乗るから。高城は藤崎さんとな」 なんだか、そういうことに決まったみたいですね。 観覧車は好きです。でも高い所はちょっと苦手ですね。 早乙女君は高い所が好きみたいで、いろいろと話し掛けてくれるんですけど、わ たしはやっぱり、ちょっと怖くて声が出なかったのです。 「ごめん、観覧車苦手だったの?」 「い、いえ。そんなことは・・・」 「ああ、高い所が苦手なんだ」 「ええ、そうなんです。で、でも観覧車は好きなんです」 「ふぅん。珍しいね」 そんな会話をしているうちに観覧車は1周を終えました。 なんだか、外を見る間もなく1周してしまったように感じます。 藤崎さんたちは、どんな話しをしているのでしょうか・・・